世界と性分

という訳で、色んなお話を聞く事に。

どうでした？

「やっぱり、喜んでもらえるのが一番嬉しいよね。シンプルに。一人暮らしのお年寄りとかねえ。時間が無くてやる事が多すぎて、あんまり被災された方とお話できなかったのが残念だけど」

そだよね。その為に行ってんだものね。

「あとは、やっぱり、当たり前なんだけどここは現実なんだなーって。実際に行ってみると。普通の生活を送ってる、自分達と続いた、現実。悲劇とか災害に切り取られた別の場所じゃなくて」

そう、そうなんだけど、やっぱりテレビで見てるとそれって実感しにくいよね。
(やはり、被災地に行かれた知人男性の方も同じ事を言ってました)

「例えばさ、炊き出しで焼き鳥焼いたんだけど、仮設住宅に住んでられる方の数を聞いておいて、一人二本まで、て計算してそれよりかなり多くの量用意したんだけど、全然足りなかったし…並んだのに上げれなかった人に申し訳なかったなー」

「二人家族だから二本下さい、って言うおばあさんがいて、『いや、二人家族なら四本、大丈夫ですよー』て焼きたてのあげると、すごい喜んでくれたりもあったし、反対にどう見ても一人なのに、『五人家族だから10本！』ていう人もおられたしねえ。まあ、タダだからちょっとでもいっぱい欲しいって気持ちは、わかんないでもないんだけど…」

「ほかのグループってどうやってんのかなあ。あの状況で平等に支援て、すごい難しいと思う。やっぱり多く貰う人と、少ししか貰えない人って出てきちゃうような…」

あーそっかー。

「自分だけツライ、て言う人もいれば、自分だって大変なのに、『みんな大変だから…』って、こっちだったり周りに気を使ってくれる人もいるし…」

うん。

「だからね、その姿って、今、自分達がいる世界そのままじゃん。色んな人がいて色んな考え方がある訳で。そのなかで仮設住宅に集まって、毎日顔を合わせて、復興ていう目的のために、失ったものがあるまま進んでいくのは本当に本当に、大変だろなあと」

うん。

「でもそれでも焼き鳥だったり物資だったりが、そんな日常のなか少しでも楽しい出来事になったなら良かったなって」

うん。

「俺、焼いてたら褒められたんだよなー。お年寄りに。『上手ねえ、え、でもあなたお坊さんなのよね？』って」

わはは。

お坊さんは学生の時、居酒屋チェーン店でバイトしてて焼き物もやってたので上手なのです。

しかも、他の人は交代してたのに、うちのお坊さんは何時間もずっとぶっ通しで焼いてたそうな。

……それは、疲れたでしょう…。ていうか、なんで代わってもらわないのよ！

「いや、そういうとこで俺、いいかっこしいなんだよ……」

性分だね……。